ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「確かに。アイル公子は、僕のことです。


ですが、この二人はデュラック王子とバイルではありません。


こちらの方々は、リタさんとナンシーさんです」


アイルの発言に、二人は笑った。


「違うよ、アイル。


氷龍神は本気で、私達をあの王子達と思ってる訳じゃなくて、彼らの生まれ変わりという風に見てるのさ」


リタが説明してくれたおかげで、ようやく氷龍神が言っていることがわかってきた、とアイルは思った。


氷龍神は、本題に入る。


『アイル、お前はこの神殿に巣くう魔物を退治してくれた。


その力と勇姿さえあれば、魔界を守ることもできるだろう。


それを認め、お前にこの鎖を託す。


どうか僕の代わりに、この公国や他の場所を守ってくれ。


頼んだぞ』


氷龍神は笑みを浮かべながら、語りかけるのをやめた。


やけにあっさりだったわね、とナンシーは思った。


「ということは、アイルが五人目の龍戦士ってことか」


リタはいつもの男口調で言った。


アイルはまだ、自分が新たな氷龍戦士になったことが、半信半疑だった。


自分はおっちょこちょいな公子。


そんなことは父大公や母公妃に言われているので、よくわかっている。


「どうしたの、アイル? 早く戻ろうよ」


「待って下さいよ」


アイルは、置いてきぼりをくらいそうになりながらも、二人について行く。


三人は地下神殿を後にして、上へ戻る。
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