ガルドラ龍神伝―闇龍編―
この案には、少なからずヨゼフは疑問を抱く。


(リアスと一緒に、神殿を冒険? 冗談じゃない。


こんな奴と冒険したら、生意気なことをたくさん言われるだけだ)


自分もリタやナンシーに向かって時々生意気なことを言うことを置いて、ヨゼフは族長の案に反対した。


「了解しました、族長。あたしなら平気ですから、ご心配なく」


(その言葉が、余計に心配なのだが……。


まあ、無事に帰還することを祈ろう。


それと、岩龍女神シトラルが、リアスに味方して下さるようにな)


ルッカス族長は、本音を出さないようにしていた。


もし本音を言ってしまうと、リアスを傷つけかねないと思ってのことだ。


四人は準備をしてから、岩龍女神の神殿に向かった。


一方でリアスは、まだピクニック気分ではあったが。


「リアス、一応言っておくけど、これは冒険であって遊びじゃないんだよ」


リタが注意したにも関わらず、リアスは耳を傾けようともしなかった。


バッグに荷物を入れながらリタは、リアスが族長にあまり信用されていない理由を悟っていた。


人の注意に耳を傾けずに、ただ自分のやりたいことだけをやっている。


これなら、幾らアピールしても、岩龍族の民からの信頼も薄くて当然だ。


リアスの行動を見ていて、リタはそう考えた。


「どうしたの、リタ?」


ナンシーに聞かれ、リタははっとした。


「どうしたって?」


リタはわざとはぐらかすように言う。


おそらくは、ナンシーに心配をかけたくないと思ってのことだろう。


彼女の態度に対して、ナンシーは膨れっ面をした。


(何よ、リタったら。人が折角心配してあげてるのに。


私達は、友達じゃないの?)


ナンシーはいつもの癖で意地を張ってみたが、さっきの態度は一時的なものか、とも思っていた。
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