ガルドラ龍神伝―闇龍編―
三人は彼女について、族長の部屋に行った。


フィブラスの砂龍城の謁見の間を彷彿させるような、大きな扉の前で、ビオラはノックする。


「どうぞ、お入り下さい」


女性らしい優しい声で、族長らしき魔族が許可を出した。


大きな扉を開き、四人は部屋に入る。


そこには、赤色のチャイナ服に身を包み、まっすぐに伸びた、綺麗な紫色の鬣の女性がいた。


「ママ、召使いから聞いたんだけど、あたしを捜してたって、どういうことなの?」


ビオラは女性のことを≪ママ≫と呼び、自分を捜していた理由を訪ねる。


「あなたに、ちょっとした頼み事があったからよ。


そこの三人が揃い次第、風龍女神ルニスの神殿に向かってほしくてね」


族長は、唐突に神殿の話を切り出した。


彼女はリタ達の方を向くと、自己紹介をした。


「はじめまして、私はエアロビ。


この一族の族長です。


今回あなた達を部屋に呼ぼうとしたのは、神殿のことで依頼をしておきたかったからです」


「はじめまして、私は砂龍族のリタです。


こちらは私の友達の水龍族のヨゼフと火龍族のナンシーです。


その依頼とは?」


リタの質問に答え、エアロビ族長は依頼の詳細を話す。


彼女の話によれば、風龍女神ルニスの神殿に侵入者が来たらしい。


そこで、通りすがりのリタ達に関する噂を聞いていた族長は、ビオラと共にその侵入者を退治してきてほしいとのことである。


「でも、あそこは穴がたくさん開いてて、渡るのは大変よ」


「あなた達が行かなければ、誰が行くというの?」


強引な感じのする橙色の目が、リタ達には凄く突き刺さる。


それを見てリタは、こんな強引な族長はどこを捜してもいないだろう、と思った。


同時に、ビオラとエアロビ族長はなぜか母娘という感じがしない、とも思った。
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