ガルドラ龍神伝―闇龍編―
風龍女神は、まるで水龍神アークレイのように言うな、とヨゼフは思った。


(『あたしを見守ってきた』、か……。


もしそれが本当なら、あたしの生い立ちを全て知ってるのかしら?)


ビオラは疑問を抱きつつ、風龍女神に今自分が思っていることを訪ねる。


すると、女神は頷いた。


『残念ながら、全てではありません。


が、あなたとエアロビ族長の≪本当の関係≫なら把握しています』


「あたしとママの、≪本当の関係≫?


それって、どういうこと?


あたしとママは、血が繋がってるはずよ」


『いいえ。あなたと族長は、本当の母娘ではありません。


簡単に言ってしまえば、あなたは族長の養女ですね』


女神に事実を淡々と言われ、ビオラはショックを受けた。


十五年間もあたしを育ててくれた族長……。


でも、その魔族は、あたしの本当のママじゃない?


だったら、あたしの本当のママは誰なの?


教えて下さい、ルニス女神様!


いきなり生い立ちのことを言われたせいか、ビオラは動揺している。


リタは僅かだが、ビオラの気持ちを理解できた。


ビオラは今、衝撃的な事実を明かされて悲しんでいる。


私も母親の顔をよく知らないから、その気持ちは痛いほどわかる。


だけど、いつまでも過去に溜まるのはいけない。


未来に目を向けるんだ、ビオラ!


私達は誰しも一人では生きていけはしないさ。


色々な魔族達に支えられて、ここまで生きて来れたんだよ。


女神様も、なぜこんな事実を淡々と言ったの?


これじゃ、攻撃するのと何も変わらないじゃないか!


リタはビオラに対する想いと、風龍女神ルニスの無神経さに対する怒りとが、混ざってしまった。


彼女の手はぶるぶると震え、今にも怒りが爆発しそうな状態だ。


それを察知して、ヨゼフが止めた。


「リタ、気持ちはわかるけど、今風龍女神が言ったことは、僕達には直接関係のないことだ。


下手に関わらない方が良いよ」
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