ガルドラ龍神伝―闇龍編―
(確かに。


余計なことを詮索しない方が、ビオラのためかもしれない)


年下の魔族になんやかんや言われるのは癪に障るリタだが、ヨゼフが言っていることが正しいと思ったので、これ以上は関わらないことにした。


『女神とはいえ、私としたことが、失礼なことを言ってしまいましたね。


でもそれは、あなたがしっかりと、未来に目を向けられるかを試していたからこそなのです』


「……」


ビオラの脳裏には、多くの謎が駆け巡っている。


だが、風龍女神の言うことも一理あると、ビオラは痛感した。


『風龍族は≪忠誠の魔族≫。


継母だけれど、エアロビ族長はあなたの家族であることは、変わりません。


これからも、エアロビ族長に忠誠を誓いながら、生きていくのですよ』


風龍女神は、あたしに前を向いてほしいと言っている。


だから、できれば過去に溜まりたくない。


ビオラはその決意を、女神に言った。


『ようやく、未来に目を向ける覚悟ができたのですね?


よろしい。あなたはこれから、新たな風龍戦士として、この魔界を守っていくのです』


そう言って、女神はビオラに武器を授ける。


武器といっても、見た目はただのバトンであったが。


『残る戦士達は、三人ですね。


あの領主の力は、ますます強くなっています。


どうか、お気をつけて』


そう言うと風龍女神ルニスは、水晶玉から語りかけるのをやめた。


リタは先程の女神の言葉を、肝に銘じる。


「さて、ビオラが戦士として目覚めたことだし、エアロビ族長の所に戻ろう」


「そうだな」


リタの意見に、皆が賛成した。


風龍女神の石像の前で祈りを捧げ、四人はビオラの家に戻った。
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