ガルドラ龍神伝―闇龍編―
リタは部屋に入って早々、神殿で起きた出来事や風系魔道師に会ったことなどを、族長に話す。


エアロビ族長は、納得している。


「やはりあの侵入者というのは、キア一味の魔道師だったのですね。


風龍女神ルニスの言う通り、今後キアの行動に警戒しなくてはいけません」


エアロビ族長は、リタ達を説得するように、きっぱりと言った。


「あの……ママ……」


例のことについては、聞くか聞くまいか迷っていたビオラだが、勇気を持って聞くことに決めた。


「聞きたいことがあるんだけど」


最初はビオラの言いたいことがわからなかったが、リタははっとして止めようとした。


だが、逆にビオラに止められてしまう。


(本当に、それで良いの?


下手をすれば、自分を傷つけることにもなるんだよ)


リタは不安になった。


が、ここは見守ることにした。


「これは、風龍女神から聞いたことなんだけど……。


あたしとママは、血が繋がってないって本当なの?」


「……」


ビオラの質問に、エアロビ族長は戸惑った。


しばらく、重い沈黙が続く。


が、ようやく話す気になったのか、族長は口を開く。


「風龍女神がそんなことを……。


ビオラ、あなたの言う通りよ。


私達は血が繋がってない。


つまり、私はあなたから見れば継母」


≪継母≫という言葉が、ビオラの心にぐいぐい突き刺さる。


それは、棘が食い込んでいるかのような、強烈なものだった。


エアロビ族長の話によれば、ビオラは赤ん坊の頃にとある風龍族の男性と女性が魔道族から逃げられなくなり、エアロビ族長が「どうか、この子を幸せにして下さい」と頼まれて引き取られた時の子供だという。
< 148 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop