ガルドラ龍神伝―闇龍編―
この観点から、リタはますます彼に疑惑を感じた。
彼女の口から、彼女自身も驚くほどにほろほろと本音が出る。
「どうやら、私の言うことが正しいようだね。
本当のヨゼフの一人称は俺じゃなくて僕だし、そんなに臆病じゃないし……」
リタの口から、次々と思い通りの言葉が漏れる。
そんな状態に堪えきれなくなったのか、ついに偽者のヨゼフは、正体を明かした。
彼の正体。――
それは、九年前からこの神殿に棲みついている召喚獣だった。
召喚獣はリタを見ると、すぐに爪で攻撃を仕掛けてきた。
彼女は素早く側転で、召喚獣の攻撃をかわした。
「見破ったうえに、軽々と俺の攻撃を避けるとは……。
小癪な砂龍王女め、返り討ちにしてやる!」
召喚獣はリタを敵と見なし、無造作に攻撃を繰り出す。
だが、それもリタの猫のような動きで、全てかわされていく。
それを見てリタは、尚も召喚獣をからかいながら、攻撃する隙を窺っていた。
「君は随分と動きが遅いんだね。
それに、この私に正体を見破られるなんて、どこまで間抜けなの?」
自分でも驚くほど、いつもとは違った態度でリタは戦いに挑む。
その時の目は、かつて自分がキアにさらわれる前に助けようとしてくれた父親の砂龍王のようだった。
常に最後まで諦めずに敵と戦い続けるという志こそ、父王と似ている証である。
召喚獣は怯んだが、急に笑い始めた。
その笑い声は、近くにいる魔族達の鼓膜はおろか、他の部屋を移動中の魔族達にも強く響いた。
「愚かな砂龍王女よ。
仲間がぼろぼろになっても、まだ俺と戦い続けるつもりか?」
「何が言いたいんだ?
それは心理作戦で、私の動揺を狙ってるの?」
リタは、決して召喚獣の作戦に屈しなかった。
更に彼女は言う。
「それに、ヨゼフやナンシーなら大丈夫さ。
今頃はあのやんちゃな雷龍と、合流を果たしてるはずさ」
リタは右腕に、爪型の武器を装着した。
彼女の口から、彼女自身も驚くほどにほろほろと本音が出る。
「どうやら、私の言うことが正しいようだね。
本当のヨゼフの一人称は俺じゃなくて僕だし、そんなに臆病じゃないし……」
リタの口から、次々と思い通りの言葉が漏れる。
そんな状態に堪えきれなくなったのか、ついに偽者のヨゼフは、正体を明かした。
彼の正体。――
それは、九年前からこの神殿に棲みついている召喚獣だった。
召喚獣はリタを見ると、すぐに爪で攻撃を仕掛けてきた。
彼女は素早く側転で、召喚獣の攻撃をかわした。
「見破ったうえに、軽々と俺の攻撃を避けるとは……。
小癪な砂龍王女め、返り討ちにしてやる!」
召喚獣はリタを敵と見なし、無造作に攻撃を繰り出す。
だが、それもリタの猫のような動きで、全てかわされていく。
それを見てリタは、尚も召喚獣をからかいながら、攻撃する隙を窺っていた。
「君は随分と動きが遅いんだね。
それに、この私に正体を見破られるなんて、どこまで間抜けなの?」
自分でも驚くほど、いつもとは違った態度でリタは戦いに挑む。
その時の目は、かつて自分がキアにさらわれる前に助けようとしてくれた父親の砂龍王のようだった。
常に最後まで諦めずに敵と戦い続けるという志こそ、父王と似ている証である。
召喚獣は怯んだが、急に笑い始めた。
その笑い声は、近くにいる魔族達の鼓膜はおろか、他の部屋を移動中の魔族達にも強く響いた。
「愚かな砂龍王女よ。
仲間がぼろぼろになっても、まだ俺と戦い続けるつもりか?」
「何が言いたいんだ?
それは心理作戦で、私の動揺を狙ってるの?」
リタは、決して召喚獣の作戦に屈しなかった。
更に彼女は言う。
「それに、ヨゼフやナンシーなら大丈夫さ。
今頃はあのやんちゃな雷龍と、合流を果たしてるはずさ」
リタは右腕に、爪型の武器を装着した。