ガルドラ龍神伝―闇龍編―
(思った通りだ。


ここが、雷龍神ハンスの祭壇なんだ)


リタは思った。


四人がしばらく石像を眺めていると、リタの背後から、稲妻のようなものが飛んできた。


それを素早く察知してか、リタは軽く宙返りでかわす。


「いきなり稲妻で攻撃してくるなんて、大したご挨拶じゃないか」


リタは四枚の羽を使って、宙を舞いながら言った。


間もなく彼女は、地面に足をつけた。


「流石は、砂龍王ランディーの娘。


身のこなしは、大したものだな」


先程四人が入ってきた所から、今度は稲妻模様が入った黄色い服を着た黒髪の男性が入ってきた。


「お前は、誰だ?


この神聖なる雷龍神の居場所から、出て行け!」


ペレデイスは侵入者の男性に向かって、強く言い放つ。


それを、ヨゼフが制止した。


その時の彼の目は、後は僕達に任せろと言っているように、ペレデイスにはとれた。


「私はバティカル。


雷の属性を操る上級の魔道師で、キア様の忠実なる僕だ」


そう言うとバティカルという男性は、右腕から雷属性の魔法を、リタ達に向けて繰り出す。


「アクア・ウォール(水の壁)!」


ヨゼフは槍先を地面に突き刺し、水の壁を作る呪文の名前を叫んだ。


すると、地面の裂け目から、波のようなものが現れ、それが稲妻を防いだ。


それはまるで、リタ達を守っているかのようだった。


「なかなかやるな。


流石は、水龍戦士というだけのことはある」


「前に似たようなことを、他の魔道師から言われたよ」


ヨゼフはバティカルと同じことを言われ続けてきたせいか、うんざりした顔をして答えた。


黒焦げになった顔を拭きながら、彼は槍を持ち直す。


次にリタは、バティカルの背後に回り、攻撃する隙を窺う。


「バティカル、あなたの魔力は大したものだ。


でも、隙が大きすぎ。


ヒャッカンタフ(砂の爪)!」


バティカルが攻撃の手を休めた。


その一瞬の隙を、リタは見逃さなかった。


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