ガルドラ龍神伝―闇龍編―
5


雷龍神ハンスは、新たにペレデイスを雷龍戦士に選んだ。


ふと、そのことについて、リタは疑問を感じる。


(歴史の中では、『ハンスは何か起きた時のために、毎日体を鍛えていた』とある。


ペレデイスにもそんな特徴があるから、ひょっとして彼が雷龍神の生まれ変わりなのかな?)


神殿の呪いを解き、リタ達はゲルデナに戻ってきた。


残り一人の龍戦士を捜す準備に入るため、三人は一度、ペレデイスの家に泊まることにした。


街に戻って早々、四人はネテリウス族長の屋敷を再度訪れた。


だが、四人が神殿に行く前と同じように、ネテリウス族長はペレデイスが丸太を破壊した場所にいた。


リタ達の気配を察知して、族長が振り向く。


「リタ姫、君達には本当に感謝している。


君達が神殿に巣くう召喚獣を倒してくれたおかげで、赤い雲も姿を消したようだ」


ネテリウス族長は、空を見上げて言った。


「それで、今日はどうするのだ?」


「今日は、ここに泊まっていきます。


私達は雷系魔道師との戦いで、疲れてしまいましたから」


ナンシーが答えた。


族長も、その意見には同意している。


一日の冒険の疲れを取るには、休息のために街に泊まるのが一番だ。


リタはそう考えていた。


三人はペレデイスの案内で、彼の家を訪れた。


彼女達が連れられたのは、一見どこにでもありそうな藁ぶき屋根の家だった。


だが、三人は決して文句は言わなかった。


泊まれる場所があるだけでも、私達は感謝しなければならない。


少なくとも、リタはそう思っていた。
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