ガルドラ龍神伝―闇龍編―
その時、水を含んだ球体のようなものが、砂属性の召喚獣の急所に当たった。


後からリタ達が、スーザンと少女の側に駆け寄り、彼女達の様子を見た。


「大丈夫か?」


ペレデイスが、スーザンの体をそっと起こして言った。


スーザンは顔を赤らめる。


「ありがとう。それより、あの召喚獣を倒さなきゃ」


スーザンは、頑張って起き上がろうとする。


だが、先程受けた傷が予想以上に深く、彼女は立っているのもやっとだった。


「無理するな。


後は俺達に任せろ」


そう言うとペレデイスは、スーザンが礼を言う間もなく、鎖鎌を構えて召喚獣の方に向かった。


召喚獣が繰り出す砂属性の魔法は、ナンシーを包み込むように襲いかかる。


彼女は砂地獄に閉じ込められ、斧を投げることすら困難な状態になった。


召喚獣は、スーザンの代わりにナンシーを食べようと、生まれ持っての鋭い牙を彼女に向ける。


リタは急いで召喚獣の背後に回り、そのまま頭上までジャンプした。


そして、爪で半ば突き刺すようにバリッ、と引っ掻いた。


痛みに耐えきれなくなった召喚獣はもがき苦しみ、そのまま倒れた。


彼が倒れると、不思議とナンシーを閉じ込めていた砂地獄は消えている。


戦いが終わると、先程の二人の少女達が四人の所に駆け寄る。


「ありがとうございます。


助けて下さったうえに、召喚獣を倒して頂いて。


もう、なんとお礼を申し上げて良いか……。


紹介が遅れましたね。


私は金龍族のスーザン。


そして、こちらが友達のパーリーです」


茶色の鬣を二本に分けて結っている金龍族の少女が、お辞儀をしてリタ達に礼を言った。


「お礼なんて良いよ。


私は砂龍族のリタ。


そして仲間の水龍族のヨゼフ、火龍族のナンシー、雷龍族のペレデイス」


リタは、スーザンとパーリーという少女に、自分の仲間達を紹介した。


「さっき私達を助けてくれたお礼に、町を案内します」


「敬語なんていらないよ、スーザン。


僕達は、もう友達なんだから」
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