ガルドラ龍神伝―闇龍編―
3


三人は魔道族に盛られた毒からランディー王を救うため、≪薬仙人掌≫を採りに行くことになった。


「リタ、薬仙人掌って何?」


ナンシーは訪ねた。


「毒を始め、あらゆる病気を治せる仙人掌のことさ。


最も、それは今となっては、かなり数少なくなってきただろうけどね。


私が五歳の頃までは、大量にあったらしいよ」


リタが説明している間に、ヨゼフが植物図鑑をリュックから取り出し、ナンシーに見せる。


「この仙人掌はとても大きくて運べないから、この赤い花が咲いていて、裏側が紫色をしている――いわゆる腕の部分を切り落として、砂龍族の魔族達は、気分が悪くなった時に食べてたみたいだよ」


ヨゼフの解説で、ナンシーは≪薬仙人掌≫について、ほとんど理解することができた。


セルセインが城の最奥部までリタ達を導き、鍵がかけられている青色の扉を開ける。


「城から北西に六キロ行った先に、≪フィブラスの流砂≫という場所があります。


そこから更に北に十数メートル行けば、薬仙人掌があるかと思われます。


なるべく早く戻ってきて下さい」


「ああ、わかってるさ。


なにせ今回は、父上の命がかかってるからね」


セルセインの≪なるべく早く≫という言葉にプレッシャーを感じながらも、三人は城の裏口を通って、薬仙人掌があるフィブラスの流砂に向かう。


それを祈るように、セルセインは三人を見送った。


三人は薬仙人掌を求めて、北へ北へと歩く。


数分歩くと、そこには幾つもの流砂や砂地獄があった。


足を砂まみれにして、彼女達は砂地獄にはまらないように注意しながら、北を目指す。


その時、誰かの腹の音が鳴った。


音を辿ると、ナンシーから鳴っているようだ。


ナンシーは顔を赤らめながら、「平気よ」と言った。


その時の顔は、今は間食どころではないという風に、リタにはとれた。


(そうよ。


今はランディー陛下のお命がかかってる、大事な時なの。


呑気に、間食なんてできないわ)


ナンシーは左手に斧を握り、覚悟を決める。


リタ達は、幾つもある魔物や魔族の骨を踏みつけるように進む。


そこからまっすぐ進んだ先に、先の所に赤い花が咲いている大きな仙人掌が三つあった。
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