ガルドラ龍神伝―闇龍編―
2


(全く、ビオラったら話をややこしくして……)


ビオラの意見に対する怒りを覚えながら、ナンシーは龍戦士隊結成についての会議に加わった。


ふと、氷龍族のアイル公子が名前を思いついたように、指を鳴らす。


「ルイン……。


ルインというのは、どうでしょう?」


アイルの意見に、他の戦士達は首を傾げる。


「恰好良くてセンスが良い名前だけど、なぜルインなの?」


ヨゼフが、さりげなく質問した。


それに対し、アイルは得意気に答える。


「これは僕達龍戦士の代表となるお三方の頭文字を、取ったものです」


「頭文字?」


「そうです。


まず、リタさんのR、ヨゼフさんのY、そしてナンシーさんのNを、それぞれ一文字ずつ置きます。


すると……」


アイルの説明を辿るように、ヨゼフは呟きながら確認する。


「R……Y……N……。


ルイン……。


ああ、なるほど。そういうことか」


「わかって頂けましたか?」


ヨゼフを始め、龍戦士一同が、アイルがつけた名前の由来について納得する。


「では、臨時ですがとりあえず風龍戦士ビオラの案により、≪龍戦士隊ルイン≫の結成が決定しました」


リタが手短に、龍戦士隊の臨時結成を認めた。


十人は本題に戻り、会議の続きをした。


「次に、キアをどうやって説得するか?」


リタはこの議題に対し、酷く頭を抱える。


ただ憎しみを増やすなと言うだけでは、何の解決にもならないだろう。


そして何よりも、昨日リゲリオンが流砂で私達に言っていたことが気になる。


リタは昨日のことを振り返り、考えた。


(メアリーは私達に協力すると言っただけで、キアに歯向かったとされてる。


でもそれは、キアに無理矢理そうしろと言われてるだけ。


だから、先にメアリーとリゲリオンを助けないと。


私達には、説得は難しい。


ここはやはり、子供であるあの二人の力を借りる必要がある)


リタは深く考えた結果、囚人扱いされたメアリーとリゲリオンを助け出す作戦を導き出した。


彼女は早速、それを九人に言った。


九人は、彼女の意見に賛成した。
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