ガルドラ龍神伝―闇龍編―
3


ログテル砂漠のトルード侯爵とその娘のルトワンヌ姫の手当てのおかげで、リタ達は元気を取り戻した。


「リタ姫、昨日兄から電話で伝言を預かっている。


『くれぐれも、無理はするな』、だそうだ」


トルード侯爵に言われ、リタは深く溜め息をつく。


(全く、父上は心配性だな。


私は大丈夫だって、あれほど言っておいたのに)


嫌々ながらも、リタは伝言の礼を言った。


「さあ、怪我も治ったことだし、このまま≪アウン・ファレル≫に向かおうよ」


リタは大張り切りで、他九人の龍戦士達に呼びかける。


ヨゼフ達も大張り切りだった。


こうして、十人はリタの親族達に見送られ、闇の空間≪アウン・ファレル≫の入り口である≪ダブの遺跡≫という場所に向かう。


ログテル砂漠の街の南門の向こう側に、≪ダブの遺跡≫への道が続いている。


北側と同じようにきらきらと光る石が多く混ざっている砂の上を、リタ達は南へ南へと歩いていく。


その途中、ニアロスが疑問に感じたことを皆に聞いた。


「なんで、≪ダブの遺跡≫なんだ?


他にももっと、色々な名前があったはずなのに」


その疑問には、リタが代表になって答える。


「それはおそらく、初代砂龍王ラドダンが第三王子を龍戦士達の隊長に見立て、三人の龍戦士達の名前から名付けたんじゃないかな?


丁度アイルが、私達龍戦士のグループ名を付けたようにさ」


リタに言われ、九人は当時の三種族の代表者達の名前を頭に浮かべる。


(デュラックのD、アークレイのA、そしてバイルのB。


D……A……B……。


ダブ……。なるほど)


九人は遺跡の名前の由来がわかると、納得した。


十人が無駄話をしているうちに、普段は見えないほどの透明感がある砂丘に出た。


「本当に、こんな所に遺跡があるのか?」


ペレデイスが大儀そうに、疑問を投げかける。
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