ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「ありがとう、ビオラ。大丈夫よ。


先を急ぎましょう。あまり時間がないわ」


スーザンはビオラの手を借りて立ち上がり、黄土色の服をぱんぱんと叩いた。


リアス達が部屋を出ようとすると、急に天井付近にかけられていたはずの仮面が目を光らせ、彼女達の方へ飛んできた。


それはまるで、彼女達の行く手を阻んでいるかのように見える。


五人はそれぞれの武器を構えた。


彼女達は一斉に魔法を放ち、仮面達に攻撃していく。


すると、たくさんあった仮面は一気に消えていった。


(雑魚達め……。


俺達は急いでるっていうのに、大勢で襲いかかってきて)


ペレデイスは苛立っている。


気味の悪い敵を倒し、閉ざされた扉とは反対側の扉を開け、五人は先を急ぐ。


何段も何段もある階段を上り、リアス達はようやく二階に到着した。


「これでやっと二階だなんて、信じられるか?


ただの遺跡だっていうのにさ」


ニアロスは呑気そうに、リアス達に同意を求める。


だが、今の彼女達にはそのような疑問に答える余裕がないことは、ニアロスにもよくわかっていた。


その時、強い風が、五人を吹き飛ばそうとしているかのように激しく吹いてくる。


それは生暖かく、風というよりは闇のように黒いオーラという雰囲気が漂う。


それはまっすぐリアス達の所に飛んでいき、扉をすり抜けていった。


(もしかして、今のは闇龍の魂? もう去ったのかと思ってた)


ニアロスは呑気にも、闇のオーラはキア領主の体から抜け出して、どこかへ行ったものかと思っていた。


だがあれこそが、闇龍――太古の昔に封印された、凶悪な龍の魂に違いない。


少なくとも、ビオラはそう思っていた。


その時、オーラのような風が通ってきた方向から、カタカタという音が五人の耳に入った。


五人は警戒して、先程しまった武器をもう一度構えた。
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