ガルドラ龍神伝―闇龍編―
3


一方で、リタ達のグループもダブの案内に従い、順調に遺跡の中を進んでいる。


だが、目的地周辺に近づくにつれ、ダブを除いてリタ達の服は汗で濡れていた。


なかでもアイルの歩みは、だんだんとよろよろになっている。


「待って下さいよ、皆さん。


特にヒアさんやダブさんは、早すぎですよ」


アイルが弱音を吐くと、ヒアは彼を睨みつけて言う。


「仕方ないじゃないか。


ゆっくり歩いてたら、アルエスがいつ力を取り戻すかわからないし。


そうならないように、俺達は今、≪アウン・ファレル≫に向かってるんだろう?」


「……」


ヒアに突き刺さるようなことを言われ、アイルは何を言えば良いのかわからなくなってしまった。


「ヒアの言う通りですよ、アイル。


こうしている間にも、アルエスは力を蓄えているのですから」


ダブの言ったことに、皆が納得した。


六人は所々にある数々の謎を解き、ついに≪アウン・ファレル≫への入り口と思われるワープ装置のような物がある部屋に辿り着く。


ダブはここから闇の空間であり、闇龍の肉体がある≪アウン・ファレル≫に行けると言った。


その言葉を聞いた時、リタ達は唾を飲む。


「いよいよね。今度は私達が命を吸い取られ、死んでしまうかもしれない。


だけど、命をかけてガルドラを平和にできれば、私達は本望よ」


ナンシーは半ば悲しげな目でリタ達の方を向き、自分の想いを言った。


だがリタは、今の彼女の言葉を訂正するように口を開く。


「縁起でもないことを言うなよ、ナンシー。


私達は、全員生きて還れる。今までだって、様々な試練を乗り越えてきたじゃないか。


もっと、強く希望を持とうよ」


リタがそう言った時、どこからか声が聞こえた。


その声は極めて低く、冷たい態度で二人の話に口を挟むように言う。


『お前達に、希望などない。そして、この魔界にもな。


今度こそ俺が勝利し、お前達は滅び、この魔界は俺のものとなるのだ』


この声は、もしかしてアルエスか?


滅びる、勝利という言葉から、リタはそう判断した。
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