ガルドラ龍神伝―闇龍編―
リタは魂が作り出した偽物のヨゼフに向けて、砂属性の魔法を放つ。
「クロス・ヒャッカンタフ(交差する砂の爪)!」
リタは爪の閃光を交差させて、砂属性の中級呪文の名前を叫んだ。
すると、偽物のヨゼフは切り裂かれて消えた。
次に魂は、ヨゼフの方を向く。
『次はお前だ。水龍族の少年よ』
魂は言った。
ヨゼフは偽物のナンシーの方を向き、区別がついた。
本物のナンシーなら角が少し曲がっているし、鬣は二本の三つ編みになっている。
だが、偽物のナンシーは角がまっすぐだし、鬣は一本の太い三つ編みになっていて、色もセピアではなく、純粋な黒色である。
この観点からヨゼフは、これは偽物に違いないと判断した。
「ブルー・ボール(水を取り巻く玉)!」
ヨゼフは偽物のナンシーに向けて、水属性の中級呪文の名前を叫び、魔法を放った。
すると偽物は、水蒸気となって消えた。
三人は改めて、闇龍の魂の方に向き直る。
「さあ、偽物は二人とも倒したぞ。
良い加減に負けを認めたらどうだ、闇龍アルエス?」
リタは魂に、降参するよう願った。
だが、その願いも届かず、逆に魂は笑っていた。
その笑いは、単にリタが言ったことが可笑しかったからではない。
自分の願いが虚しく消えていくことが可笑しいから笑っているのだ、とヨゼフは思った。
『俺はこの九年間、ただ魔界を支配するためだけに能力を使っていた。
魔道領主の体を使い、権力を利用してでも、この魔界を俺の思い通りに動かしたかったのよ。
だがそれも、今となってはただの猿芝居に過ぎない』
「……」
アルエスの話を聴き、三人は言葉が出なかった。
『まあ、良い。お前達には、何を言ってもわかるまい。
ならば、今度は俺も本気で、お前達を攻撃する。覚悟するが良い』
古風な口調でアルエスの魂は言い、肉体の方へ飛んで行く。
次第に魂は自分の肉体と重なり、元の力を取り戻す。
魂と肉体が一つになる時、凄まじいほどの強風がリタ達を襲う。
その風は、三人を飲み込もうとしているかのように吹いている。
強風がおさまるまでの間、三人はじっと、要塞の柱にしがみついていた。
「クロス・ヒャッカンタフ(交差する砂の爪)!」
リタは爪の閃光を交差させて、砂属性の中級呪文の名前を叫んだ。
すると、偽物のヨゼフは切り裂かれて消えた。
次に魂は、ヨゼフの方を向く。
『次はお前だ。水龍族の少年よ』
魂は言った。
ヨゼフは偽物のナンシーの方を向き、区別がついた。
本物のナンシーなら角が少し曲がっているし、鬣は二本の三つ編みになっている。
だが、偽物のナンシーは角がまっすぐだし、鬣は一本の太い三つ編みになっていて、色もセピアではなく、純粋な黒色である。
この観点からヨゼフは、これは偽物に違いないと判断した。
「ブルー・ボール(水を取り巻く玉)!」
ヨゼフは偽物のナンシーに向けて、水属性の中級呪文の名前を叫び、魔法を放った。
すると偽物は、水蒸気となって消えた。
三人は改めて、闇龍の魂の方に向き直る。
「さあ、偽物は二人とも倒したぞ。
良い加減に負けを認めたらどうだ、闇龍アルエス?」
リタは魂に、降参するよう願った。
だが、その願いも届かず、逆に魂は笑っていた。
その笑いは、単にリタが言ったことが可笑しかったからではない。
自分の願いが虚しく消えていくことが可笑しいから笑っているのだ、とヨゼフは思った。
『俺はこの九年間、ただ魔界を支配するためだけに能力を使っていた。
魔道領主の体を使い、権力を利用してでも、この魔界を俺の思い通りに動かしたかったのよ。
だがそれも、今となってはただの猿芝居に過ぎない』
「……」
アルエスの話を聴き、三人は言葉が出なかった。
『まあ、良い。お前達には、何を言ってもわかるまい。
ならば、今度は俺も本気で、お前達を攻撃する。覚悟するが良い』
古風な口調でアルエスの魂は言い、肉体の方へ飛んで行く。
次第に魂は自分の肉体と重なり、元の力を取り戻す。
魂と肉体が一つになる時、凄まじいほどの強風がリタ達を襲う。
その風は、三人を飲み込もうとしているかのように吹いている。
強風がおさまるまでの間、三人はじっと、要塞の柱にしがみついていた。