ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「アルエス、お前にはわからないだろうね。


魔族達はみんな、お互いを信じ、助け合い、時に歪み合ったり喧嘩したりしながら生きてるのさ。


それを妨害するお前を、私達は絶対に許さない!」


リタは怒るように言った。


その時、リタの気持ちに呼応するように、胸元のダイヤモンドが輝き始めた。


「ダ、ダイヤモンドが……」


ダイヤモンドの突然の輝きに、リタは驚いた。


次に、ヨゼフがペンダントとして身につけているサファイアや、ナンシーが持っているルビーが同時に輝き始めた。


その光も、二人の気持ちに呼応しているかのようだった。


やがて三色の光は交わり、一つの光線となって一直線に延び、アルエスを攻撃した。


宝石の光を浴びたアルエスは、もがき始めた。


「これは、もしかして……」


ナンシーが呟くように言った。


「そうか……。


あの三色の光は、アルエスの弱点なんだよ。


つまり、今が攻撃のチャンスということさ」


リタは他二人を促し、弱々しく唸るアルエスに向かって突進した。


ヨゼフは勢いをつけて跳び上がり、柱を利用してアルエスの上をとった。


「アクア・トライデント(水の槍)!」


ヨゼフは真上から、水属性の魔力を含んだ槍を投げる。


その槍は、アルエスの頭を直撃した。


「アックス・フレイム(炎を纏う斧)!」


ナンシーは炎の魔力を斧に絡ませ、それをアルエスの腹目掛けて投げる。


その炎は腹に突き刺さった斧を通じて燃え広がり、アルエスの体を焼く。


アルエスは魔法を解こうと必死にもがくが、どうすることもできなかった。


「ヒャッカンタフ・サンドーラ(砂を纏う爪)!」


リタはしばらく突進してから大きく跳び上がり、真上からアルエスを切り裂くように砂属性の上級呪文を放った。


するとアルエスの体は真っ二つに切れ、やがてその姿は形も残らず消えていった。


リタは少しの間、片膝をつく。


彼女はナンシーの手を取り、起き上がる。


「やっと……終わったね」


リタは微笑みながら、ヨゼフやナンシーと共に喜びを分かち合う。
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