ガルドラ龍神伝―闇龍編―
2
「ランディー陛下、リタ殿下から伝言を預かっております」
唐突にランディー王に申し出たのは、リタの乳母ジオだった。
「これ、ジオ。少し落ち着いて、ゆっくり喋りなさい」
王は宥めるように制止した。
彼は玉座で肩を叩きながら、先程ジオが言ったことについて質問する。
ジオは答えた。
「殿下及びお仲間達を、神殿入り口付近までお見送りした時に預かった伝言です。『心配しないでほしい』とのことです」
(そう言っている時が、一番心配なのだが)
「そうか。あの子はレイアに似て優しいから、私達に心配をかけたくないと思ってのことだろう。そこは理解してあげなくては」
リタが生まれて間もない頃に、病で亡くした王妃のことを思い出しながら、王は言った。
ふと、ジオは気にしている点を王に話す。
その点とは、リタや他の二人がなぜ本来の龍の姿ではなく、魔道族のような姿なのかということだ。
話を聞いた途端、急に王の表情が険しくなる。
「これは推測だが、あの子達の“魔道族のような姿”は、キアの呪いによるものだろう」
「はぁ……。と、仰いますと?」
「あの子達との面会中に、ふと思い出したのだが……。噂では、レザンドニウムの領主キアは、凄まじいほどの闇の魔力を手中にしているらしい。その魔力だけでなく、彼は呪術をも体得している。あくまでも国民達の噂でしかないが。多分、あの子達もそれにかかったために、あの姿になったのだろうと思う」
王は、他の砂龍達にはわからないような説明をした。
仮に彼らに知れると、要らぬ不安を与えるだけだ、と考えてのことだろう。
ジオは、王との面会を済ませた。
その後で彼女は窓際まで行き、密かに手を合わせる。
リタ達が無事に神殿から戻れるように、祈っているのだ。――
「ランディー陛下、リタ殿下から伝言を預かっております」
唐突にランディー王に申し出たのは、リタの乳母ジオだった。
「これ、ジオ。少し落ち着いて、ゆっくり喋りなさい」
王は宥めるように制止した。
彼は玉座で肩を叩きながら、先程ジオが言ったことについて質問する。
ジオは答えた。
「殿下及びお仲間達を、神殿入り口付近までお見送りした時に預かった伝言です。『心配しないでほしい』とのことです」
(そう言っている時が、一番心配なのだが)
「そうか。あの子はレイアに似て優しいから、私達に心配をかけたくないと思ってのことだろう。そこは理解してあげなくては」
リタが生まれて間もない頃に、病で亡くした王妃のことを思い出しながら、王は言った。
ふと、ジオは気にしている点を王に話す。
その点とは、リタや他の二人がなぜ本来の龍の姿ではなく、魔道族のような姿なのかということだ。
話を聞いた途端、急に王の表情が険しくなる。
「これは推測だが、あの子達の“魔道族のような姿”は、キアの呪いによるものだろう」
「はぁ……。と、仰いますと?」
「あの子達との面会中に、ふと思い出したのだが……。噂では、レザンドニウムの領主キアは、凄まじいほどの闇の魔力を手中にしているらしい。その魔力だけでなく、彼は呪術をも体得している。あくまでも国民達の噂でしかないが。多分、あの子達もそれにかかったために、あの姿になったのだろうと思う」
王は、他の砂龍達にはわからないような説明をした。
仮に彼らに知れると、要らぬ不安を与えるだけだ、と考えてのことだろう。
ジオは、王との面会を済ませた。
その後で彼女は窓際まで行き、密かに手を合わせる。
リタ達が無事に神殿から戻れるように、祈っているのだ。――