ガルドラ龍神伝―闇龍編―
リタの顔から、焦りの色が窺える。
が、ラッパの音色が砂漠全体に響き渡る直前、ジオは静かに合図を送った。
これにより、リタはぎりぎり挨拶の時間に間に合った。
彼女は息が切れそうになっている。
『遅いですよ、殿下。まさか、迷っていたんじゃないでしょうね?』
ジオは耳元で囁くように、リタに訪ねる。
『そ、そんなことないよ。仮に城内で迷ってたら、国民達の前で恥をかくよ』
『まあ、とりあえず迷っていないのなら、良しとします。ですが、今度からはこのようなことがないように。誕生式典等で、遅刻寸前に来ることはもってのほかです』
『……わかったよ』
素直ではなかったけれど、ジオはこれ以上リタを叱るのは可哀想だと思い、ひそひそ話を止めた。
丁度その頃、大臣のツーリアンによる開会宣言が始まった。
会場内ではヨゼフとナンシーを始め、リタのことを名前しか知らない子供達及び彼らの両親が、王や大臣の方を見ている。
「大変長らくお待たせ致しました。ただいまより、我らが砂龍族の姫、リタ殿下が九年ぶりにレザンドニウムから、このフィブラス砂漠に戻られたことを祝して、パーティの開催をここに宣言致します」
大臣が開会の言葉を述べた後、他龍族民の二人は拍手をした。
続いて砂龍族の民一同も、一斉に拍手をする。
「リタ殿下ご入場の前に、ランディー陛下のお言葉を頂きます」
そう言うとツーリアン大臣は、砂龍王にマイクを渡す。
王が咳払いし、祝辞を述べる。
「ええ。この度、我が王女リタ姫が九年ぶりにこのフィブラス砂漠に戻って来たことは、誠に喜ばしい限りです。砂龍族及び砂漠の王として、祝福します。以上」
言い終わるとランディー王は、再び椅子に腰掛ける。
その時から風が音を立てずに、砂漠の砂を運びながら吹いている。
が、城や城下町を覆う黒い塀のおかげで、その風の影響が及ぶことはない。
「お待たせ致しました。リタ殿下のご入場でございます」
大臣の言葉に催促されるように、リタはゆっくりと歩く。
その時――
彼女の体が橙色の光に包まれ、変化を起こし始めた。
(リタ?)
(殿下?)
ランディー王を始め、城内の者全員が、彼女の体の変化に驚いている。
が、ラッパの音色が砂漠全体に響き渡る直前、ジオは静かに合図を送った。
これにより、リタはぎりぎり挨拶の時間に間に合った。
彼女は息が切れそうになっている。
『遅いですよ、殿下。まさか、迷っていたんじゃないでしょうね?』
ジオは耳元で囁くように、リタに訪ねる。
『そ、そんなことないよ。仮に城内で迷ってたら、国民達の前で恥をかくよ』
『まあ、とりあえず迷っていないのなら、良しとします。ですが、今度からはこのようなことがないように。誕生式典等で、遅刻寸前に来ることはもってのほかです』
『……わかったよ』
素直ではなかったけれど、ジオはこれ以上リタを叱るのは可哀想だと思い、ひそひそ話を止めた。
丁度その頃、大臣のツーリアンによる開会宣言が始まった。
会場内ではヨゼフとナンシーを始め、リタのことを名前しか知らない子供達及び彼らの両親が、王や大臣の方を見ている。
「大変長らくお待たせ致しました。ただいまより、我らが砂龍族の姫、リタ殿下が九年ぶりにレザンドニウムから、このフィブラス砂漠に戻られたことを祝して、パーティの開催をここに宣言致します」
大臣が開会の言葉を述べた後、他龍族民の二人は拍手をした。
続いて砂龍族の民一同も、一斉に拍手をする。
「リタ殿下ご入場の前に、ランディー陛下のお言葉を頂きます」
そう言うとツーリアン大臣は、砂龍王にマイクを渡す。
王が咳払いし、祝辞を述べる。
「ええ。この度、我が王女リタ姫が九年ぶりにこのフィブラス砂漠に戻って来たことは、誠に喜ばしい限りです。砂龍族及び砂漠の王として、祝福します。以上」
言い終わるとランディー王は、再び椅子に腰掛ける。
その時から風が音を立てずに、砂漠の砂を運びながら吹いている。
が、城や城下町を覆う黒い塀のおかげで、その風の影響が及ぶことはない。
「お待たせ致しました。リタ殿下のご入場でございます」
大臣の言葉に催促されるように、リタはゆっくりと歩く。
その時――
彼女の体が橙色の光に包まれ、変化を起こし始めた。
(リタ?)
(殿下?)
ランディー王を始め、城内の者全員が、彼女の体の変化に驚いている。