ガルドラ龍神伝―闇龍編―
第六話:水の都の水龍神
1
フィブラスを出発して、北西に五十メートル前後歩き、リタ達は島内の港街に続く道に出た。
「このまま港街まで行けば、船に乗ってアヌテラに帰れるんだ。ラノア族長と、久しぶりに会えるよ」
ヨゼフは、早くも期待に胸を膨らませている。
が、彼とて元奴隷戦士としてのプライドを捨てた訳ではない。
何しろ、リタをサポートするよう、砂龍王に言われているのだ。
九年ぶりの帰省だからといって、あまり浮かれている訳にもいかない。
(魔道族の人数は、十一属性の魔道師を合計して、星の数だ。油断大敵だ)
三人は、握り拳を胸に当てる。
各属性の神殿を巡り、そのうえ龍戦士を捜さなければならない。
リタ達はそのことを肝に銘じて、このような仕種をしたのだろう。
しかし、港街に着いたは良いものの。――
水龍族の里とも呼ぶべき水の都行きの船が、予定より三時間も遅れている。
そのことを、リタ達は周囲の話で知った。
「早く、次の船が来ないかな? 三時間もオーバーするなんて、普通なら有り得ないよ」
ヨゼフが腕時計を見ながらぶつぶつ言っていると、ようやくクライアスの港街に船が来た。
リタ達を含む二十人の客が、アヌテラ行きの船に乗る。
間もなく、船は出港した。――
前述の通り、アヌテラは水龍族の住処にあたる水の都である。
その都はガルドラの中央に位置していて、四方八方に水が溢れている。
とりわけアヌテラはこの魔界≪ガルドラ≫の中で、広大な都市と言えよう。
船内でリタ達は、仮眠を取っている。
昨夜のパーティで疲れたからだろう。
リタは、自分が即位する夢を見た。
ヨゼフやナンシーは、共に龍戦士になる夢を見ながら、高く手を挙げた。
おそらく夢の中で、武器の調子を確かめているのだろう。
しばらく経って、リタが目を覚ます。
彼女は気になってふと、腕時計と船内の時計とを、交互に見る。
フィブラスを出発して、北西に五十メートル前後歩き、リタ達は島内の港街に続く道に出た。
「このまま港街まで行けば、船に乗ってアヌテラに帰れるんだ。ラノア族長と、久しぶりに会えるよ」
ヨゼフは、早くも期待に胸を膨らませている。
が、彼とて元奴隷戦士としてのプライドを捨てた訳ではない。
何しろ、リタをサポートするよう、砂龍王に言われているのだ。
九年ぶりの帰省だからといって、あまり浮かれている訳にもいかない。
(魔道族の人数は、十一属性の魔道師を合計して、星の数だ。油断大敵だ)
三人は、握り拳を胸に当てる。
各属性の神殿を巡り、そのうえ龍戦士を捜さなければならない。
リタ達はそのことを肝に銘じて、このような仕種をしたのだろう。
しかし、港街に着いたは良いものの。――
水龍族の里とも呼ぶべき水の都行きの船が、予定より三時間も遅れている。
そのことを、リタ達は周囲の話で知った。
「早く、次の船が来ないかな? 三時間もオーバーするなんて、普通なら有り得ないよ」
ヨゼフが腕時計を見ながらぶつぶつ言っていると、ようやくクライアスの港街に船が来た。
リタ達を含む二十人の客が、アヌテラ行きの船に乗る。
間もなく、船は出港した。――
前述の通り、アヌテラは水龍族の住処にあたる水の都である。
その都はガルドラの中央に位置していて、四方八方に水が溢れている。
とりわけアヌテラはこの魔界≪ガルドラ≫の中で、広大な都市と言えよう。
船内でリタ達は、仮眠を取っている。
昨夜のパーティで疲れたからだろう。
リタは、自分が即位する夢を見た。
ヨゼフやナンシーは、共に龍戦士になる夢を見ながら、高く手を挙げた。
おそらく夢の中で、武器の調子を確かめているのだろう。
しばらく経って、リタが目を覚ます。
彼女は気になってふと、腕時計と船内の時計とを、交互に見る。