ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「ううん、平気さ。困った時は、お互い様さ」
そう言ってリタは、乗船券売り場の料金表を確認する。
その料金表には、
『大人……五百六十ガルドン、子供……三百ガルドン』
と書いてある。
≪ガルドン≫とは、この魔界の通貨の単位で、一ガルドンは約十円に相当する。
(私達は全員子供だから、合計九百ガルドンだね)
リタは財布を持って、乗船券売り場の男性に声をかける。
「すみません。子供用三枚、お願いします」
彼女の注文を聞いた後、男性はヨゼフの方を見る。
「あの赤紫色の髪の男の子、どこかで見覚えがあるな」
三十代前半と思われる男性は、ひたすらヨゼフを見ている。
ヨゼフは急にリタの前に出て、男性に自分のことを話し始める。
「おじさん、九年ぶりですね。ヨゼフです。覚えてますか? 四つの時、母と手を繋いで、よくここから出るゴンドラを利用してた……」
そこまで話すと、ようやく男性はヨゼフのことを思い出した。
母と手を繋ぎ、ゴンドラを利用していた時の彼の様子が今、はっきりと蘇ったのである。
「ああ、あの時のヨゼフか。しばらく見ないうちに、かなり髪が伸びたな。でも、なんで魔道族のような姿なんだ?」
「レザンドニウム領国のキアの仕業で、このような姿に変えられてしまったんです」
「あの、それは良いですから、子供用乗船券を三枚ください」
「いやぁ、ごめんごめん。懐かしくなって、つい……。合計九百ガルドンだよ」
リタは男性に促され、九百ガルドンを払った。
予定より一時間遅れたものの、三人はゴンドラに乗り、ヨゼフの家に辿り着く。
(やっと、家に帰れた。昼食後、両親やカルツフォイを丁重に弔ってあげなくちゃ。神殿に行くのは明日になるけど、きっとリタ達はわかってくれるはずさ)
ヨゼフは決心を固め、自宅のドアを開ける。
その時――
彼の家の中で、誰かがクラッカーを鳴らした。
その中身が、リタの角やナンシーの顔にかかった。
そう言ってリタは、乗船券売り場の料金表を確認する。
その料金表には、
『大人……五百六十ガルドン、子供……三百ガルドン』
と書いてある。
≪ガルドン≫とは、この魔界の通貨の単位で、一ガルドンは約十円に相当する。
(私達は全員子供だから、合計九百ガルドンだね)
リタは財布を持って、乗船券売り場の男性に声をかける。
「すみません。子供用三枚、お願いします」
彼女の注文を聞いた後、男性はヨゼフの方を見る。
「あの赤紫色の髪の男の子、どこかで見覚えがあるな」
三十代前半と思われる男性は、ひたすらヨゼフを見ている。
ヨゼフは急にリタの前に出て、男性に自分のことを話し始める。
「おじさん、九年ぶりですね。ヨゼフです。覚えてますか? 四つの時、母と手を繋いで、よくここから出るゴンドラを利用してた……」
そこまで話すと、ようやく男性はヨゼフのことを思い出した。
母と手を繋ぎ、ゴンドラを利用していた時の彼の様子が今、はっきりと蘇ったのである。
「ああ、あの時のヨゼフか。しばらく見ないうちに、かなり髪が伸びたな。でも、なんで魔道族のような姿なんだ?」
「レザンドニウム領国のキアの仕業で、このような姿に変えられてしまったんです」
「あの、それは良いですから、子供用乗船券を三枚ください」
「いやぁ、ごめんごめん。懐かしくなって、つい……。合計九百ガルドンだよ」
リタは男性に促され、九百ガルドンを払った。
予定より一時間遅れたものの、三人はゴンドラに乗り、ヨゼフの家に辿り着く。
(やっと、家に帰れた。昼食後、両親やカルツフォイを丁重に弔ってあげなくちゃ。神殿に行くのは明日になるけど、きっとリタ達はわかってくれるはずさ)
ヨゼフは決心を固め、自宅のドアを開ける。
その時――
彼の家の中で、誰かがクラッカーを鳴らした。
その中身が、リタの角やナンシーの顔にかかった。