ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「そういえば私達……」


「昼食をとるために、ヨゼフの家に来たんだった」


三人はすっかり、ヨゼフの家に来た目的を忘れていた。


その様子を見て、ラノア族長は言った。


「ご心配なく。昼食は、私が作っておきましたよ」


そう言いながら族長は、テーブルを指差す。


ヨゼフはテーブルの上にあるハエ帳を取り、族長の手作り料理を見る。


それらの皿には、生野菜サラダやビーフシチューなど、栄養のある料理が盛られている。


「こ、これ全部、族長が作ったのですか?」


ナンシーが訪ねた。


「そうです。早く召し上がって下さい」


ラノア族長に言われるがまま三人は、椅子に腰掛けて手を合わせる。


「頂きます」


「どうぞ、召し上がって下さい」


ヨゼフもナンシーも、奴隷生活のせいでがりがりに痩せた体を、太らせるつもりで食べる。


そんな二人を見て、リタも少しだけ太りたいと思った。


が、それは無理であった。


彼女の場合、父親の“食べても食べても、太らない体質”を受け継いで育ったからだ。


それでも彼女は、体力をつけるために、適度の食事をとる。
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