ガルドラ龍神伝―闇龍編―
2

ラノア族長が作った料理で、リタ達は昼食を済ませた。


「ご馳走様」と言った後にヨゼフは、リタ達に“今後のこと”について話す。


「これは、家に着く前から考えてたことなんだけど……。水龍神の神殿を冒険するのは、明日にしてほしいんだ」


「構わないけど、どうして?」


「キアの部下達に殺された家族を、丁重に弔ってあげたい。ついでに、供養もしてあげたい。だけど、それを実行に移すには、少なくとも一日は欲しいんだ」


「なるほど。君がそこまで言うんだったら、今日はアヌテラに泊まるしかないね。ヨゼフ、この街にホテルはある?」


リタの質問には、スーラルが代わりに答えた。


彼の話によれば、アヌテラの一番東側に、ホテルがあるらしい。


が、それは大金持ちの魔族――特に貴族出身の魔族達が多い所で、宿泊料金は保証できない程だという。


(彼の話を聴いてると、リタに頼りたくなるわ。だけど、リタばかりに頼ってると、今度は彼女が貧乏になる。なんとかスーラルにお願いして、格安で泊まれる場所を紹介してもらわないと)


ナンシーは思った。


その時、彼女はあることを思いつく。


ヨゼフの家か、ラノア族長の屋敷に泊まろうというものだった。


早速、彼女はリタに提案する。


「確かに良い考えだね(ちょっと、図々しいけど)」


リタは、族長に宿泊交渉をする。


族長は少しの間、考えた。


あまりにも唐突なので、戸惑っているのだろう。


彼女は二人を泊める代わりに、三つの条件を出した。


その条件とは、


①娘・プリシラの面倒を見ること。


②寝室で騒がないこと。


③屋敷内の置物に触れないこと。


というものだった。


「良いですか? くれぐれも、娘が困るようなことはしないで下さい」


ラノア族長は、確認するように言った。


二人は頷いた。――


「明日は午前七時半までに、屋敷前に集合。そこから、神殿に向かうよ」


リタは、明日の予定をヨゼフに説明した。


「わかった。また明日ね」


三人は手を振り、ヨゼフの家の前でわかれた。
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