ガルドラ龍神伝―闇龍編―
七メートル下から見ていたが、彼女の視力でもはっきりと見える。


(あの槍は、おそらくセイント・ウェポンの一つだろう)


リタがそう思った時だった。


床に大きな穴が開き、巨大な水属性の召喚獣が現れた。


その上には、水系魔道師リゲリオンの姿があった。


彼の額には、包帯が巻かれている。


「リゲリオン! どうして、ここがわかった? この神殿に、何の用がある?」


ヨゼフは、水系魔道師に訪ねる。


「父上――いや、キア様の命令で、砂龍神の来世であるそこの女砂龍を、始末しに来たのだよ」


「私は“リタ”だ。前にも一度会ってるんだから、覚えてくれよ」


リタは半ば怒り気味に言った。


が、気を取り直してリゲリオンに訪ねる。


「お前達魔道族は、私を倒したがってるようだけど、それはどうしてだい?」


「この魔界に住む全ての龍魔族を根絶やしにする、というのがキア様の計画だ。が、リタ姫が砂龍神の生まれ変わりとしての能力を覚醒しつつある、とキア様が言い出したのだ」


「つまり、私達が龍戦士を覚醒させるための旅をしてると、キアの邪魔になる、ということか?」


リタの言葉に対し、水系魔道師は静かに頷く。


そして、彼は自分の召喚獣にリタ達を襲わせた。


「来るぞ。二人とも、武器を構えろ」


リタは、命令口調で他の二人に言った。


彼女はセイント・ウェポンの爪を、ヨゼフとナンシーは、奴隷戦士専用の槍と斧を構える。


今、水龍神との対面をかけた戦いが、始まった。
< 57 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop