ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「折角町に来て下さったのだ。私の家で、ゆっくりしていきなさい」


その言葉に、リタは一瞬戸惑った。


が、この町にある店は僅かだと思ったのか、彼女は「是非、伺います」と答えた。


その時、ナンシーが手で合図して、


『あなた達、ちょっと良い？』


と、小声でこっちに来るよう催促する。


『どうしたの、ナンシー？』


『ゼネラ族長のことだけど……』


彼女の言葉に、二人は唾を飲む。


『一見穏やかで呑気そうに見えるけど、実は凄く短気なの。族長の機嫌を損ねないようにね』


『わかった。気をつけるよ』


三人は、小声で話した。


が、族長は全部聴いていたらしく、「何か言ったかね？」と訪ねてきた。


三人は慌てて首を横に振り、「いえ、何でもありません」と言った。


ナンシーはまた後で合流しましょう、と言いたげに右腕を挙げる。


他の二人も右腕を挙げ、「ああ、必ずね」と合図した。
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