ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「その不審者を倒せば、火龍神も安心できるだろう。
リタ姫、あなた達三人の力があれば、そいつを退治するのも簡単だと思うのだが」
ゼネラ族長が楽観的に物事を運ぶので、リタは一瞬断ろうと思った。
が、ナンシーが“族長は短気だから、機嫌を損ねないように”と言っていたのを思い出し、敢えて賛成し、その場を取り繕う。
そうとは知らずに、族長は二人を見送る準備をする。
(助かった……。父上以外の魔族に怒られるのは、慣れてないよ)
リタがそう思った時、屋敷の呼び鈴が鳴る。
「ナンシー、もう旅支度を済ませたのか?」
ゼネラ族長は独り言を言いながら、柵のような門を開ける。
案の定、門の前にはナンシーがいた。
リタとヨゼフは、彼女の髪型が変わっていることに、疑問を抱いている。
「あれ? ナンシー、君はなぜツインテールから、二本の三つ編みに変えたんだい?」
リタの質問に、ナンシーは少し笑って答える。
「リボンによるツインテールだと、幼く見えるでしょう?
それに比べて三つ編みにすれば、少しは十四歳らしく見えるんじゃないかしら、と思ってね」
「なるほど」
二人は、声を揃えて頷く。
ゼネラ族長が、ナンシーに話しかける。
「ナンシー。くれぐれも、リタ姫達にご迷惑をかけないように、頑張るのだぞ」
「わかりました、族長。神殿から帰ったら、話し合いましょう」
ナンシーは斧を、まるで剣や槍のように背中に携え、手にはハンドバッグを持っている。
ヨゼフはふと、伝説の冒険家だった自分の父親の姿を思い浮かべる。
彼は空を見上げ、胸の中で両親に語りかける。
(僕は――僕は、本当に親不孝者だよ。
父さんや母さんを見捨て、魔道族の餌食にさせてしまった。
挙句の果てには、カルツフォイを――僕の弟を守れなかった。
そんな僕に、リタ達を守る資格なんてあるのか?)
彼は、自分自身の過ちを振り返りながら、自分を追い詰めていた。
それは、三人が屋敷を出発した後も続く。
リタ姫、あなた達三人の力があれば、そいつを退治するのも簡単だと思うのだが」
ゼネラ族長が楽観的に物事を運ぶので、リタは一瞬断ろうと思った。
が、ナンシーが“族長は短気だから、機嫌を損ねないように”と言っていたのを思い出し、敢えて賛成し、その場を取り繕う。
そうとは知らずに、族長は二人を見送る準備をする。
(助かった……。父上以外の魔族に怒られるのは、慣れてないよ)
リタがそう思った時、屋敷の呼び鈴が鳴る。
「ナンシー、もう旅支度を済ませたのか?」
ゼネラ族長は独り言を言いながら、柵のような門を開ける。
案の定、門の前にはナンシーがいた。
リタとヨゼフは、彼女の髪型が変わっていることに、疑問を抱いている。
「あれ? ナンシー、君はなぜツインテールから、二本の三つ編みに変えたんだい?」
リタの質問に、ナンシーは少し笑って答える。
「リボンによるツインテールだと、幼く見えるでしょう?
それに比べて三つ編みにすれば、少しは十四歳らしく見えるんじゃないかしら、と思ってね」
「なるほど」
二人は、声を揃えて頷く。
ゼネラ族長が、ナンシーに話しかける。
「ナンシー。くれぐれも、リタ姫達にご迷惑をかけないように、頑張るのだぞ」
「わかりました、族長。神殿から帰ったら、話し合いましょう」
ナンシーは斧を、まるで剣や槍のように背中に携え、手にはハンドバッグを持っている。
ヨゼフはふと、伝説の冒険家だった自分の父親の姿を思い浮かべる。
彼は空を見上げ、胸の中で両親に語りかける。
(僕は――僕は、本当に親不孝者だよ。
父さんや母さんを見捨て、魔道族の餌食にさせてしまった。
挙句の果てには、カルツフォイを――僕の弟を守れなかった。
そんな僕に、リタ達を守る資格なんてあるのか?)
彼は、自分自身の過ちを振り返りながら、自分を追い詰めていた。
それは、三人が屋敷を出発した後も続く。