ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「とにかく、早く神殿に行こうよ。プレシオちゃんが心配だし、ヒアの呪いが解けるかもしれないし」


「リタ……」


「僕もリタと同意見だ。


正直言って、幽霊や悪霊は怖いけど、ここで油を売ってる訳にはいかないよ」


二人の意見を聞き、ヒアは決断を下す。


「わかった。俺も神殿に行く。


ヨゼフ、悪霊達が襲ってきたら、俺がみんな除霊してやるからな」


「ありがとう。あんたなら、そう言ってくれると信じてたよ」


ヨゼフは、期待の眼差しをヒアに向けて言った。


四人は、それぞれ自分達が愛用している武器を専用のベルトに挿したり、鞄の中に入れたりして、準備した。


ヒアは弓と矢筒を装備して、除霊符をズボンのポケットにしまった。


ヒアは少女に、「すぐに戻って来るから、心配せずに待ってろよ」とだけ言い、三人の龍戦士と一緒に葉龍女神ルナの神殿を目指し、出発した。


神殿はバデリウスの樹海の外れにある、≪樹海の神域≫を十メートル歩いた先に建っている。


が、神域には番をしている魔族がいる。


いくら同じ葉龍族の民といえども、族長の許可なしで神殿に入ることは困難だろう。


少なくとも、ヒアと同行している三人の龍戦士は、そう思っていた。


四人は番をしている魔族達の前に立った。


番人の一人は、ヒアに訪ねる。


「ヒア、これから二つの質問をする。


お前はなぜ、魔道族に似た姿をしている?


そして、なぜこの神域に来た?


ここから先は、一族の少女以外は族長の許可がいるが」


「俺がこんな姿をしているのは、魔道族の奴らに呪いをかけられたからです。


でも、今はそんなことは関係ありません。


ここに来たのは、プレシオ――俺の妹を捜すためです。


そのためなら、俺の命を犠牲にしてでも戦います。


ですから、そこを通して下さい」


ヒアは必死に頼み込む。


彼の妹に対する想いが伝わったのか、番人は言った。
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