ガルドラ龍神伝―闇龍編―
彼の話があまりにも唐突だったので、三人はただ戸惑うばかりだった。


同じように戸惑っていたクリカ族長だったが、ヒアにその理由を訪ねる。


「どうしてですか?


あなたは葉龍戦士です。


修行するためにも、旅立たれた方が良いと思いますが……」


「俺も本当は旅に出たいとは思います。


ですが、妹のこともありますし、俺の力で村のみんなを助け、生活を支えてあげたいと思います。


ですから、俺はここに残ります」


「そういうことなら、了解。


当分の間は、私達三人だけで旅をするよ。


キアと闇龍の関係性も調べたいからね」


「ありがとう。情報収集、頑張れよ」


三人は、静かに頷く。


こうして、樹海での夜は、賑やかな催し物と一緒に締め括られた。


樹海にある村で一夜を沸かした三人は、葉龍族の魔族達と一緒に、出入り口まで来ていた。


「リタ、ヨゼフ、ナンシー。気をつけて行けよ」


「ああ。ヒアも、頑張りすぎないようにね」


レザンドニウム領主キアによる苦境が続いているとはいえ、四人は笑顔で話し合っている。


そこへ、プレシオが三人のためにお菓子を袋に詰めて持ってきた。


中でも、ヨゼフのだけは結構大きい。


「何だよ。僕はこんなに、食べられないよ」


彼の発言には、皆大爆笑していた。


「それじゃあ、ヒア。元気でね」


かつての奴隷仲間に手を振り、三人はバデリウスの樹海を後にする。


彼女達は、デラル島の南端に停まっている船に向かい、走って行った。
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