双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「隠すったって……。それまでにびしょ濡れになるぞ。やむまで待てよ」
「でも……」
雨の勢いは弱るどころか、強くなるばかり。
彼女の前髪から、雫が垂れた。
「しょうがねぇな……。ちょっと、我慢しろ」
「えっ、あのっ、武内くんっ……」
「……なんもしねぇよ」
新川先輩を校舎の壁に押し付け、俺自身がそこに覆い被さるようにした。
もちろん、本気で被さるわけにはいかないから、校舎の壁に付けた両腕を伸ばして。
つまり、俺自身が屋根になった。
「武内くん、やめて、濡れちゃうから……」
「……大丈夫だから、静かにしろ……」
猫のためか、新川先輩は口を閉じた。
周囲には誰の声もなく、ただ雨音だけが俺の背中を濡らしていく。
さすがに……冷たい。
だけどそれよりも、自分の体の下の小さな呼吸が気になって、それどころじゃない。
自分の前髪から雫が落ちて、彼女の白い頬を濡らした。
「悪い……」
「……全然、大丈夫だよ……」
「そうか……」
彼女の小さな声を聞くと、雨音よりも、自分の心臓の音がうるさくなりはじめた。