双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「……先に行けよ。一緒だと目立つから」


「でも……っ」


「そいつ、隠すんだろ?濡れないところ、見つけろよ」


俺の言葉に、新川先輩は泣き笑いみたいな顔を返してきた。


あれ?もしかして俺、余計な事したか?


至近距離だったのが、怖かったのかも……。


しかし新川先輩は、予想外の言葉を口にした。


「ありがとう……これ、どうか持っていって」


そういうと自分のスカートから小さなタオルハンカチを差し出した。


それを静かに受けとると、彼女はさらにポケットを探って。


生徒手帳らしきものから、一枚のカードを取り出した。


「これも……」

「?」

「絶対お礼するから、連絡してね。……先輩命令だよ?」


小さな手で、それを俺の手に押しつけると。


「じゃあね……。ありがとう、武内くん」


赤い顔でそう言ってスカートを翻し、子猫を抱いたまま走っていってしまった。


「……何だこりゃ……っ!?」


そのカードを裏返し、驚いた。


それは言わば名刺みたいなものだった。


新川里美


彼女の名前の下には、電話番号とアドレス。


それらが花やクマに縁取られている。

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