双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「翔!女の子を放って、何やってたんだ!」


一瞬、空気が凍った。


まさか健先輩が怒鳴るなんて、誰も思わなかったからだ。


「はぁ?」


三井先輩が不快を隠さずに顔に出す。


不穏な空気が漂って、里美先輩があたしに話しかけた。


「何か、事情があったんだよね?」


「あ……そうです、健先輩。

三井先輩は迷子を、迷子センターまで送って行ったんです。

皆に知らせようとして急いでたんですけど、からまれちゃって……」


ありのままを話すと、三井先輩の表情はゆるみ、健先輩は深いため息をついた。


「そうか……悪かった、翔」


「いーよ。それより彩花ちゃん、からまれたの?大丈夫だった?」


健先輩は、また怖い顔で、軽いトーンで話す三井先輩をにらんだ。


「彼が事態を察知するのが遅かったら、彩ちゃんは、もっと嫌な思いをしたかも知れない」


そう言うと、晴人の肩を優しく叩いた。


「や、何となくヤバイと思っただけで……」


私の危険を、何となく察知か。さすが晴人。


双子なのは嫌だけど、こんな時は役に立つんだな。


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