双子ですけどなにか?【修正終わりました】
そんなに衝撃はなかった。
抱き上げても、めちゃくちゃ軽い。しかも、柔らかい。何だコレ。
「あのっ……」
小さな声は鈴が鳴ったようだった。
俺は慌てて、彼女を踊り場に下ろした。
「あぶねぇな。ボーッとしてんじゃねえよ」
あ、やっちまった……。今の言い方はなかったような気がする。
「ご、ごめんね……」
うつむいた顔を上げた彼女は……黒目がちな瞳で、背がものすごく小さな女生徒だった。
しかも、白くて細い。軽いはずだ。
「あの、ありがとう……キミ、一年生?」
「あ、おぅ。2組の武内」
うっかり、名乗ってしまった。
彼女は赤い顔で、首をかしげるようにして微笑んだ。
「私、2年の新川里美。ありがとう、武内くん」
そう言うと、じゃあねと手を振って、走っていってしまった。
おいおい、またコケそうになってんじゃねぇか……。
後には、なんだか甘い、良い香りだけが残された。
ありがとう、なんて……何年ぶりに言われただろう。
俺は和樹に呼ばれるまで、アホのように彼女の背中を見送った。
ちっせぇな。
そんな事をぼんやり思った。