双子ですけどなにか?【修正終わりました】


夏休みも、彩花はほとんど生徒会で家にいない。


9月には文化祭と体育祭があるのだから、無理もない。


俺はそのすきに、いそいそと出かけていく。


夏の日射しが容赦なく照りつける中、通学路の途中にある学校の近くの公園が、その目的地だった。


メガネの事と生徒会でいっぱいいっぱいの彩花は、まだ気づいてないらしい。


俺が隠し事を、その公園にしまっている事を。


「しかしあっちいな……。あいつ、大丈夫か……?」


今年の夏は、とにかく暑い。記録的な猛暑らしい。


夕方だと言うのに、家からここまで歩いただけで、汗だくだった。


公園には、もうほとんど人はいない。


俺は、人目につかない茂みの裏に入っていった。



「ユキー」


小さな声で名前を呼ぶと、小さな返事が返ってきた。


「にゃぁー」


「元気か?今日もあちぃなぁ、オイ」


返事をしたのは、小さな白猫。


あの雨の日に、新川先輩に紹介された猫だ。


カサ、と小さな草を踏む音と共に、俺に近づく。


……すっかりなついたな。


< 141 / 429 >

この作品をシェア

pagetop