双子ですけどなにか?【修正終わりました】
夏休みも、彩花はほとんど生徒会で家にいない。
9月には文化祭と体育祭があるのだから、無理もない。
俺はそのすきに、いそいそと出かけていく。
夏の日射しが容赦なく照りつける中、通学路の途中にある学校の近くの公園が、その目的地だった。
メガネの事と生徒会でいっぱいいっぱいの彩花は、まだ気づいてないらしい。
俺が隠し事を、その公園にしまっている事を。
「しかしあっちいな……。あいつ、大丈夫か……?」
今年の夏は、とにかく暑い。記録的な猛暑らしい。
夕方だと言うのに、家からここまで歩いただけで、汗だくだった。
公園には、もうほとんど人はいない。
俺は、人目につかない茂みの裏に入っていった。
「ユキー」
小さな声で名前を呼ぶと、小さな返事が返ってきた。
「にゃぁー」
「元気か?今日もあちぃなぁ、オイ」
返事をしたのは、小さな白猫。
あの雨の日に、新川先輩に紹介された猫だ。
カサ、と小さな草を踏む音と共に、俺に近づく。
……すっかりなついたな。