双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【彩花】不信のとき
私は、美奈子ちゃんのあとを追った。
途中から走り出した美奈子ちゃんにやっと追いついた時には、既に汗だくだった。
苦しい呼吸を整えて周りを見ると、駅前商店街を抜けたところにある、小さな公園にいる事に気付いた。
「美奈子ちゃん……」
美奈子ちゃんも疲れたのか、ベンチに腰かける。私はその前に立った。
「彩花ちゃん……私、嫌われちゃったね……」
美奈子ちゃんは、苦しそうに言った。
こんな事になるなんて、思わなかった。
今度は花火でも見に行きたいね、なんて言って、二人で楽しくお茶をしたところだったのに。
「晴人くんの好きな子って、里美先輩なんだ……」
私は否定も肯定もできない。
ただ、さっきの様子で、晴人の気持ちは誰の目から見ても明らかだった。
「彩花ちゃん、知ってた……?」
「……ううん……」
「そう……」
そう、知らなかったよ。
二人が、名前で呼びあう仲になっていた事も、デートみたいに二人きりで出かけていた事も。
ユキが、里美先輩の猫だった事も、あんなに怒るくらい、本気で里美先輩を好きだった事も。
何も知らなかった。