双子ですけどなにか?【修正終わりました】
健先輩と衣装を探しに行く約束をした日曜日。
待ち合わせしたのは、この辺で一番大きな駅だった。
新幹線のりばもある、総合駅。
日曜だからサラリーマンの姿は少ないけど、やはり人は多い。
改札を出たところで待っていると、すぐに健先輩は現れた。
「こんにちわ。まだ暑いね」
もう9月だと言うのに、日射しは夏から和らぐ予感もしない。
「こんにちわ」
ドキドキ高鳴る胸を必死に抑え、なるべく普通に笑う。
「じゃあ、行こうか」
健先輩はにこりと笑うと、突然私の手をとった。
「わぁ!」
「えっ?」
「先輩、手……」
「あぁ。迷子になるといけないからね」
迷子って……。
笑う顔は優しいけれど、少し意地悪。
「……嫌?」
「そ、そんな事ありません」
慌てて否定すると、健先輩は面白そうに笑い、目的地に私を引っ張って行く。
ううん、引っ張ってという表現は少し違う。
まるで恋人のように、歩幅を合わせて、私達は歩いた。
繋がれた右手から、健先輩の体温が伝わってくる。
手を繋ぐだけで、こんなにドキドキするなんて。