双子ですけどなにか?【修正終わりました】


健先輩と衣装を探しに行く約束をした日曜日。


待ち合わせしたのは、この辺で一番大きな駅だった。


新幹線のりばもある、総合駅。


日曜だからサラリーマンの姿は少ないけど、やはり人は多い。


改札を出たところで待っていると、すぐに健先輩は現れた。


「こんにちわ。まだ暑いね」


もう9月だと言うのに、日射しは夏から和らぐ予感もしない。


「こんにちわ」


ドキドキ高鳴る胸を必死に抑え、なるべく普通に笑う。


「じゃあ、行こうか」


健先輩はにこりと笑うと、突然私の手をとった。


「わぁ!」

「えっ?」

「先輩、手……」

「あぁ。迷子になるといけないからね」


迷子って……。


笑う顔は優しいけれど、少し意地悪。


「……嫌?」


「そ、そんな事ありません」


慌てて否定すると、健先輩は面白そうに笑い、目的地に私を引っ張って行く。


ううん、引っ張ってという表現は少し違う。


まるで恋人のように、歩幅を合わせて、私達は歩いた。


繋がれた右手から、健先輩の体温が伝わってくる。


手を繋ぐだけで、こんなにドキドキするなんて。

< 167 / 429 >

この作品をシェア

pagetop