双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「わぁ」
だいぶ予約されたとはいえ、店にはまだたくさんのドレスがあった。
そこだけ別世界のような、白い世界。
健先輩は平気な顔だけど、私はどうしてもはしゃいでしまう。
「どれが良いかな~♪お姫様みたいなのもいいけど、マーメイドラインも素敵だな~」
「マーメイドは背が高いお客様に人気ね。奇をてらうならミニ丈やエンパイアもあるけど。
やっぱり人気はAラインやプリンセスラインかしら」
「ダメ、全部可愛い!選べない!」
憧れのドレスの大群を前にして正気を失った私に、健先輩が苦笑の眼差しを向ける。
そして、自らもドレスを見物しはじめた。
「へぇ、色々あるんだな」
「里美先輩はどんなのでした?」
「あいつはチビだから、ミニ丈だった気がする」
……自分から里美先輩の話題をふってどうするんだろう。
私の苦しい気持ちなんて全く気づかないまま、健先輩は一着のドレスを取り出した。
「僕はこういうのがいいな」
それは、シンプルなAラインのドレスだった。
ホルターネックで、首の後ろと腰のうしろにリボンがついている。
「おとなっぽい……けど、可愛い」
「試着させてもらう?」
「あぁ、それならサイズもぴったりだと思いますよ。一応着てみたらどう?」
女性店員にうながされ、試着室に入る。
服を脱ぎ、コルセットのようなドレス用下着をつけられ、床に広げられたスカート部分に足を入れ、引き上げる。
あれよあれよと言う間に、私は偽物のプリンセスに仕立てあげられたのだけど。
「うぅん……」
本当に似合ってるか、全然わからない。