双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「彼氏くんに見てもらおうか」
女性店員がそう言って、勝手にカーテンを開けてしまう。
彼氏じゃありませんと、否定する暇もなかった。
「どうでしょう。可愛いですよね」
女性店員がニコニコと話しかけると、テーブルにあったパンフレットを見ていた健先輩が、こちらをむいた。
そして、今まで見たことがない、驚いたような表情をした。
「へ……変ですか?」
何となく、この大人っぽいドレスに自分が合ってない気がする。
恥ずかしくてうつむいてしまうと、頭上から意外に優しい声がした。
「そんな事ない。似合うよ。びっくりした……」
顔を上げると、照れたようにメガネをさわる健先輩が見えた。
そして彼は、にこりと笑った。
この上なく優しい顔で。
「本当だよ。似合ってる」
かあぁ、と頬が熱くなった。
意地悪な健先輩が、照れてる……。
凄く珍しい場面に遭遇した気がする。
「じゃあ……これにします」
「いいの?他のドレスも試着させてもらったら?」
「いいです、気に入ったので、これにします」
健先輩が選んでくれたから。
そうは言えなかったけど。
健先輩の満足そうな顔を見て、自分の選択に間違いない事を確信した。