双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「俺は、彼女を勝たせてやりたいだけだ」


突然、メガネの様子が変わった。


「僕」ではなく「俺」と言い、目付きもいつものヘラヘラしてるメガネとは別人だ。


思わぬ変化に戸惑う俺に、メガネは続ける。


「去年の様子が掲示板にあるから見てみろよ。メイドだのナースだの、そんなの当たり前だ。
そんな事で騒ぐ事自体、お前が子供の証拠なんだよ」


「…んだと、テメェ!!」


「すごんでも怖かねぇんだよ。俺はお前みたいに弱いくせにいきがってるヤツが、一番嫌いなんだ」


メガネはそう言って、触れれば切れそうなほどの、鋭い目をする。


コイツ………こっちが、本性かよ。


何だよ……何で俺は、少しビビってんだ。


冷や汗が背中をつたった時、メガネはやっと、いつもの表情に戻る。


「……わかったかい?くれぐれもよろしく頼むよ」


表情はいつも通りなのに、その声には反論を許さない威圧感があった。


「チッ!」


舌打ちをして、生徒会室のドアを蹴って開ける。


バン、と凶暴な音を立てて、ドアが開くと。


「きゃっ!」


外にいたらしい人物が、悲鳴を上げた。


彼女は、恐る恐る俺を見上げ、表情を固まらせた。


「はる、とくん……」


名前を呼ぶな。そんな、怯えた声で。


もう、会わないでおこうと思ってたんだ……里美。


俺は振り向かずに、前だけを見て歩いた。


彩花のバカ野郎。


あんなおっかないヤツに惚れちまいやがって。


メガネへの敗北感と、また里美を怖がらせた罪悪感でぐちゃぐちゃの俺は、そのまま学校を出ていった。

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