双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「晴人くん!」


里美の悲鳴と、野次馬が息を飲む音がした。


振り返ると、いつの間にか立ち上がり逆上した2年生が、花瓶を振り上げているのが視界の端に見えて――。


里美が、俺の前に体を投げ出した。


まるで、自分が盾になるように。


「ばっ……!」


俺はとっさに、彼女の体を引き寄せた。



──ガシャアアアン!!



……なんでだろう。耳が痛い。


廊下の野次馬が悲鳴を上げたからか、一瞬わからなかった。


ただ確かなのは、里美が、この腕の中にいるということ。


「晴人!!」


何故か彩花の声が聞こえて、正気に戻る。


ぼんやりした頭をふると、何かがぱらぱらと音を立てて床に落ちた。


何故か、頭と肩が冷たい。


ぐっしょり濡れた自分の肩に葉っぱがはりついているのが見えて、自分が花瓶で頭を殴られたという事に、ようやく気付いた。


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