双子ですけどなにか?【修正終わりました】


黙っていると、放送部に名前を呼ばれてしまった。


「武内彩花さーん」


暗い舞台袖で、あたしと美奈子ちゃんの間だけに、一層暗い闇がたれこめているみたい。


誰も近寄れない空間は、自分で破るしかない。


「ごめんね……行かなきゃ。またあとで」


そう言って、私は光指す舞台へ向かう。


暗闇の中の彼女を見ないふりをして。


彼女の目が、どんよりと暗い光を放つのを、見たくなかった。


どうして、いつから、この光の下で話ができなくなったんだろう。


悲しいけど、以前のように晴人を責める気にはなれない。


ただ、美奈子ちゃんを裏切らなきゃいけない自分の立場を呪った。




リハーサルを終えて戻った舞台袖には、もう誰もいなかった。


ただ寒々しい暗闇があるだけだった。美奈子ちゃんを探したい。


今ちゃんと話をしないと、余計にこじれる気がする。


だけど……。


今日は文化祭当日。


まだ生徒会の仕事は、山のようにある。


あとでまた、ミスコンの控室で会えるだろう。


その時までに、何を言うか考えておこう……。


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