双子ですけどなにか?【修正終わりました】
健先輩の横をすり抜け、テーブルの上のファイルをとり、再び入口を向く。
その時、まだこちらを見ていた健先輩と目があってしまった。
いつもの優しい眼差しも、意地悪な視線もそこにはない。
あるのはただ、真剣に私を見る瞳だけ。
健先輩は入口の鍵をかけ、私に近づき、話しかける。
「……どうして、そんな悲しそうなの」
「それ、は……」
「……僕は彩ちゃんが落ち込んでたら、きっと同じ事をするよ」
「えっ……?」
思わず聞き返してしまうと、健先輩はすぐ近くに顔を寄せる。
抵抗する間もなく、里美先輩と同じように、肩を抱き寄せられた。
「こうしてね」
涙が、溢れた。
心臓は相変わらずドクドクと脈をうつ。
健先輩、何で……何で、こんな事するの……?
「むしろ彩ちゃんなら……こうするかもしれない」
健先輩の声に、少し意地悪な響きが加わった。
意味がわからなくて黙る私を、健先輩は両腕を背中に回して、強くだきしめた。
そして。
苦しくて顔を上げたあたしに、その唇を近づけた。