双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「晴人くん、大丈夫?」


美奈子の声がやけに遠くに聞こえる。


「っ!」


一瞬、ズキ、と鋭い傷みを感じて、思わず目を閉じる。


するとまぶたの裏に、何かが見えた。


何かは、わからない。


ただもやもやと、ハッキリしない黒い渦のような……。


やがて、痛みは消えていく。


目を開けると、心配そうな顔の美奈子が、俺を見上げているのが見えた。


「本当に大丈夫?怪我が痛いの?」

「……保健室行く」

「じゃあ、あたしも……」

「大丈夫だ。一人でいい」


呆然とする二人を置いて、早足で歩きだす。


あの黒い渦のようなものには見覚えがある。


確か、昔……まだ幼稚園児だった頃、帰宅してから友達と外で遊んでいた彩花が、野良犬に襲われた。


風邪をひいて家で寝ていた俺は、何故か夢でそのモヤを見て、「彩花が危ない」と泣いてわめきちらした。


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