双子ですけどなにか?【修正終わりました】
「……さっきは、嫌がったくせに」
すねたような声がして、顔を上げると。
今度は少し意地悪な健先輩が、メガネの奥に見えた。
「それは……っ、いきなりしようとするから……」
「……何をだっけ?」
健先輩は、いつの間にか、口の片端だけを上げて笑っている。
「そ、そうやって、人をバカにするところは嫌いです!」
「はは、キミのそういう気の強いところ、好きだよ」
「……はっ?」
いつの間にか、涙は止まっていた。
代わりに心臓がドクンドクンと脈打ち始める。
「好きだよ」
もう一度。健先輩は、優しく、私に囁いた。
胸がぎゅうっと締め付けられる。
「……本当に……?」
素直には信じられなくて、思わず聞き返した。
まるで夢の世界をさまよっているみたいに、全身がふわふわする。
健先輩は苦笑して、また、私の頭を撫でた。
「キスしたい理由なんて、それしかないだろ?」
健先輩の手から体温が伝わってきて、私の心を溶かしていく。
溶けた疑念は、涙になって溢れだした。