双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「……何をしてる」


冷たい声がして、三井先輩が私の唇を解放した。


「間宮……」


「健先輩!」


三井先輩が驚いて力をゆるめた隙に、彼を突き飛ばした。


そのまま健先輩に駆け寄る。


だけど健先輩は私を見ず、ただ三井先輩をにらんでいた。


そしてまた、冷たい声を出す。


「……ちゃんと言ったよな。彩花は僕の彼女になったって」


「……あぁ」


「どういうつもりだ?」


「別に?ふざけただけだけど?」


口調だけはいつもと一緒だけど。


二人の周りの空気は、全く違っている。


この二人には、きっと私が知らない昔からの何かがある。


何でかはわからないけど、そう思った。


「そう……覚悟はできてるか?」


そう言うと、健先輩は拳を握りしめた。


見上げると、ついこの間、三人の男を倒した、あの顔。


氷より冷たい、もう一人の先輩が、そこにいた。


「先輩、殴っちゃダメ……!」


その手が動くのと、私がつかまるのが同時だった。


振り上げられた腕の勢いで体が揺れて、健先輩は動きを止めた。


「……ふん……」


三井先輩は私達に背を向け、運動場に戻っていく。


体育祭のBGMや歓声が、やけに遠くに聞こえた。

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