双子ですけどなにか?【修正終わりました】


放課後。


俺は、一人で掲示板を見に行った。


我ながら気持ち悪いけど、なんとなく、あの子の文字を見たくなったんだ。


階段を降り、掲示板に近づくと。


「げっ」


掲示板の前に、脚立が1つ。その陰から、小さな女が現れた。


あの子だ。新川里美……先輩。


新川先輩は片手に何かの紙を持って、もう片方の手で脚立を閉じようとしている。


……そりゃ無理じゃねぇかな……。


「あ、おい」


思わず、声と足が出てしまった。


脚立が、彼女の方に倒れようとしたから。


「よっ……と」


脚立が彼女にぶつかる直前、俺は片手でそれを持ち上げた。


「あ……武内くん」


呆気にとられたようなキョトンとした顔で、彼女が俺を見上げる。


名前、覚えてたのか……。


やべ。何か、変な汗出てきた。


「ありがとう。また助けてもらっちゃったね」


そう言って、キョトン顔は、はにかむような笑顔に変わった。


う……なんだこの破壊力。可愛いじゃねえかチクショウ。


俺は、何とか普通に声を出そうと慎重に口を開く。


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