双子ですけどなにか?【修正終わりました】
学校から駅までは10分くらいなので、二人はすぐに駅に着いてしまった。
「どこにも寄らないみたいだね」
健先輩が、少し残念そうに言った。
今日は意地悪全開だなぁ。というか、完全に面白がってる。
私達は顔を見合わせるたび、ニヤニヤと笑った。
後ろをついて駅の階段を上がると、何故か先に上がった二人の姿がない。
里美先輩は改札を通るはずだし、晴人が帰るには、反対側に降りたら遠回りになるはずなのに。
帰宅ラッシュで込みはじめた駅はザワザワとしていた。
「見失っちゃいましたね……」
「しっ、ほら、あそこ……」
「え?」
健先輩は私を階段のところに呼び戻した。
そして指差した先には、掲示板がある。
「……!」
その、後ろ。
広告を貼らない、誰も通らない、壁にそった隙間に、二人はいた。
そこで、里美先輩が、精一杯背伸びをして、晴人が背中を丸めた。
思わず息を飲む。
そして……。
ごく、自然に。
二人の唇が、重なった。
「うわぁ……」
胸がドキドキする。
他人のキスシーンを実際に見た事も初めてなのに、ましてや、兄のこんな現場を見る事になろうとは。
いや、それを期待して、つけて来たんだけど。
二人はすぐ顔を離し、赤くなった里美先輩の頭を、晴人がなでる。
「……やばっ……」
二人はあっさり、掲示板の裏から出てきた。
見つからないように、健先輩と一緒に、影に身を隠す。
里美先輩は晴人に小さく手を振って、改札に入っていった。
「……見ちゃいましたね……」
「うん、見たね」
「ドキドキする……」
「はは、シンクロかな?あ、ヤバイ」
のんきに笑っている場合じゃなかった。
晴人がこちらに向かって来ていたんだ。
私達は急いで振り返り、階段を降りようとしたんだけど……。
「……彩花?と、メガネ……?」
低い声が私達を呼び止めた。
あっさり、晴人に見つかってしまったんだ。
「テメェら……こんなとこで何してやがる」
ゆっくり振り返ると、鬼のような顔の晴人がいた。