双子ですけどなにか?【修正終わりました】


「修学旅行かぁ……」


私は久しぶりに、のんびりした日を送っていた。

こうしてヒナと帰りにお茶するなんて、何ヶ月ぶりだろう。

二年生が北海道に修学旅行に行ってしまい、生徒会もその間はおやすみだ。

ヒナに誘われて、久しぶりにバスに乗り、近くのショッピングセンターに来た。

フードコートでドーナツを食べ、ガールズトーク。

もちろん話題は、周りの恋愛模様だ。

文化祭と体育祭で、私達の他にもカップルが沢山できたらしい。

クラスのあの子は、あの先輩とつきあってるとか、ヒナが豊富に仕入れてきた話題で、退屈しなかった。


「彩花は会長とラブラブなんだよね。いいな~」

「うん。でも、修学旅行に行っちゃって、寂しい」

「晴人くんも、里美先輩がいなくて、さみちいのかな~?」

「間違いないね。毎晩うちのネコにボソボソ話しかけてるよ」

「ヤバ~イ!」


ヒナは爆笑して膝を叩く。


「でも明日、帰ってくるから良いじゃない」

「うん、そうだね。っていうかヒナは?好きな人いないの?」

「いないんだよね、これが」


はあぁ、と大きなため息をつく。

その表情が大げさで、笑ってしまった。


盛り上がって、すっかり暗くなった帰り道。

ヒナと学校の近くでバスを降りたら、後ろから同じ制服の女の子達が降りてきた。

この辺は遊ぶところが少ないから、同じショッピングセンターに行ったのかもしれないな。

ぼんやりそう思って、ヒナと歩き出した。すると。

「武内さんじゃん」と、声をかけられた。


嫌な予感がする。

知らない人に声をかけられるとろくな事がない。

それがこの1ヶ月で思い知った事だ。

案の定、あっという間にその女の子達に囲まれてしまった。

文化祭前に、絡んできた子達じゃない。

そして文化祭の時に聞いた、私を閉じ込めた声でもなかった。


「ミスコン準優勝だったね」

「だからって調子に乗りすぎじゃない?」


まただ……。

別に乗ってないって。

うんざりして、ため息が出そうだった。

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