双子ですけどなにか?【修正終わりました】
すると健先輩も、また笑った。
『ごめんね、声が聞きたかっただけで、用事はないんだ』
「ううん、嬉しいです……」
健先輩からそんな言葉が出るなんて、少し驚いたけど、それ以上に嬉しかった。
胸がきゅん、と音を立てた。
『こっちはね、すごく星が綺麗だよ』
旅館の廊下の窓から、夜空を眺める健先輩を想像した。
修学旅行先は、北海道だ。
きっとこっちより、空が広いんだろう。
「良いなぁ……私も行きたいなぁ」
『うん。いつか一緒に来れるといいね』
健先輩と一緒に……。
想像するだけで、胸が熱くなる。
「はい!」
『はは、良い返事だな。そうだ、お土産は何が良い?』
「えっと……じゃあ、何か美味しいお菓子が良いな」
『了解』
さっきまでの不安を、あっという間に吹き飛ばす健先輩の声。
すごいなぁ……。
でも、余計に会いたくなっちゃうよ。
早く、帰ってきて。
『今度の休みは、暇?』
「えっ、あっ、はい!」
『じゃあ、映画でも見に行こうか。その時お土産を渡すよ。生徒会室じゃ、皆が見てるから』
「あ、はい!行きます!私、映画の時間調べときます!」
うわぁ。健先輩から、デートのお誘いだ!嬉しい!
『うん、よろしく。じゃあ……』
健先輩の言葉は、思わぬ声に遮られた。
『健くん、お待たせ!あっ、ごめ……っ』
えっ?今のって……里美先輩……?
『じゃあ、またね。帰ったらメールするから』
「あ、はい……」
『おやすみ』
健先輩は、すぐに電話を切ってしまった。
どうして?
『お待たせ』って、言ったよね?
偶然会っただけなら、そんな事言わないよね?
さっきまでの幸せはどこへやら。
私の胸には、あっという間に暗雲がたちこめる。
何か、やましい事があるから、あんな優しい言葉をかけてくれたんじゃないだろうか……。
そんな根拠の無い疑念が頭をぐるぐる回る。
まさか……。