双子ですけどなにか?【修正終わりました】
先輩は倉庫に鍵をかけると、「バイバイ」と言って、駆け足で生徒会室に帰っていく。
その後ろ姿を、ぼんやり見送った。
たったそれだけで、彼女との繋がりが全てなくなってしまったような焦りを感じながら。
そうして気がつけば、空は茜色に染まっていた。
俺も帰ろう。そう思って踏み出した瞬間。
──カチャ。
「ん?」
足元で金属音がしてそちらを見ると、何かが夕焼けを反射して、きらりと光った。
少し踏んでしまった、それを拾い上げる。
それはただ針金を曲げて花の形にしただけのような、ヘアピンだった。
先輩の前髪を斜めにとめていたものだ。
きっとゆるんで、落ちたんだ。
あの小さな歩幅なら、すぐに追いつけるかもしれない。
だけど何故か俺は、そのヘアピンをポケットに入れてしまった。
これで、また話しかける事ができる。
少しの罪悪感よりも、そんな淡い期待が、ポケットの中で膨らむのを感じた。