双子ですけどなにか?【修正終わりました】


映画が終わった後、ショッピングセンターをぶらぶらして、また家まで送ってもらった。

そう、今日はキスも何もありませんでした。

でも手を繋いだだけで、すっごくドキドキしたなぁ……。

今日の事を思い出し、にやにやしながら階段を上がろうとしたら、ちょうど晴人が降りてきた。


「ただいま♪」

「おう」


あれ?いつもと同じ。

もっと怒るとか、照れて黙るとかないのかな。

晴人の後を、ユキがついてきた。

階段を降りると、台所で普通にお茶を飲んでいる。


「里美先輩、もう帰ったの?」

「あぁ、5時頃な。バイクで送ってった」

「へえ……」


5時って。小学生かよ。

そんなツッコミをしたい気持ちを察知したのか、晴人は普通の顔で呟いた。


「……何もねぇからな」

「え?」

「お前が期待するような事は、何もなかったからな。これ以上聞くなよ」


それだけ言うと、ユキを抱き、台所を出ていく。


「えぇ、何もしなかったの?せっかくお膳立てしてあげたのに」


聞くなと言われても、聞かずにはいられない。

せっかく誰もいない家で二人きりだったのに。

晴人は怖い顔で、くるりと振り向いた。


「俺等には俺等のペースってやつがあんだ。お前とメガネの事に、俺は口出さねぇ。だからお前ももう、余計な事はするな」


なぁ、ユキ。お前もそう思うよなー。

晴人はユキにそう話しかけ、さっさと行ってしまった。

な、何あれ。

何もなかったわりには、すごい上機嫌じゃない。

私まで、胸が温かくなってしまう。

シンクロかな?

……でも、わかるかも……。

私だって、健先輩と一緒にいるだけで、幸せだったもん。

早く、変な噂が収まるといいな。

それで、こんな幸せな日々がずっと続いたらいいのに。



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